起業1年目に、経営の流行よりも「経営の原理原則」を知る

起業1年目にどのようなことを知っていれば、その後の会社の成長をより早く実現することができるのでしょうか。経営にも流行(ファッション)があるわけですが、大切なのは「経営の原理原則」を知っておくこと。経営の流行り言葉に流されることなく、経験値のあるメンターと一緒に自分たちなりの最適解を考えていく。その重要性を、ぜひ起業間もない時点で知っておいていただきたいと思います。

 

※本稿は、SAKURA United SolutionのYouTubeチャンネル内に開設した、iU学生起業家の茂木大暉氏(GADGETANKER LLC CEO)の経営相談に応える新コーナーより一部抜粋、編集したものです。

※iU(iU情報経営イノベーション専門職大学):2020年に設置され、東京都墨田区文花に本部を置く日本の私立専門職大学。産業界と連携した新しい学び、イノベーションを起こす人材を育成している。井上一生は、iUの客員教授を務めている。

 

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経営にも流行がある

「起業して何年目です」と仰る方と、よく交流会や勉強会などでお会いします。でも、「もったいないな」と感じることがあります。なんだか、周りに流されてしまっていると思うからです。

 

もっと効率よく準備をすれば、もっと早く成長できるのに。

 

現に、そういう私自身も同じです。しっかりとしたメンターやガイド役がいれば、やるべきこと、余計なこと、やってはいけないことの境目がついていれば、もっと効率よく成長できただろうなと思うことがあります。無駄なことをたくさんしてしまったと思うのです。

 

イギリスの産業革命あたりから資本主義ができてきて、資本家と労働者階級が分かれて、せいぜい数百年。そんななかで経済や生活が高度に発達してきて、猛烈なトライアンドエラーをくり返しています。ほとんど99%はエラーでしょう。ただ、わずか1%の勝ちパターンというもの、「こうやるとうまくいく」という経験則、原理原則があるはずだと思うのです。これを、起業して間もないうちから探るべきだと思います。

 

ところが、経営にも流行(ファッション)があります。例えば、ブックオフなどの古本屋さんに行ってみてください。格安の100円コーナーがあって、数年前にベストセラーだったビジネス書が積んであるわけです。タイトルや目次を見てみれば、その時々の流行語が並んでいます。あの言葉が流行ると、その言葉の話ばかり。IBMがもてはやされると、IBMばかり。GEが流行るとGEばかり。GAFAならGAFAばかりになります。

 

しかし、私たち日本の中小企業はアメリカのGAFAじゃない。GAFAが起業した頃のことを学ぶのはよいかもしれませんが、社員が何千人という企業の話を私たちに当てはめても、まったくの別のものです。中小企業や新興企業のなかで、自分たちがなにをすべきなのかということを、ベンチャー・スタートアップのための経営学というものを確立しなくてはいけないと思います。それを、iUで実現したい。

 

一流のコンサルティングファームに最先端の理論を展開されても、私たちには「なんのこっちゃ」です。自分にはとても合わない大きなサイズのコートを、無理に着ているようなものです。経営の流行に騙されてはいけない。経営の原理原則を、ベースをきっちりやっていく。それを、経験値のある人たちから「これは見なくていいよ」「ファッションに流されてはいけない」「これは鉄板でやる」とアドバイスをもらいながら、一緒にメンターと考えて進めていくことが大切です。

大抵、努力は報われない

よいメンターと出会い、メンターからアドバイスをもらい、メンターに壁になってもらい壁打ちを繰り返す。メンターと一緒になって考えながら経営をしないと無駄な努力を重ねることになります。

 

経営者として、起業家として、やらなくちゃいけないことは日々たくさんあります。やっているうちに疲れるし、傷つくのです。想像と現実は常に衝突します。「がんばっていれば、いつかわかる」「持ち続ければ、夢は叶う」、そんなのは幻想です。大抵、努力は報われない。無駄な努力をしているからです。

 

だから、「これは無駄だからやめた方がいいよ」と言ってくれる人が傍にいればいいわけです。それがメンターという存在です。苦しいときほど、悩んでいるときほど、もがいていろいろなことをがんばってしまいがちです。必要もない徹夜をして、結局は採用されるはずのない提案書を書いて、無駄なことをたくさんしてきました。私もそうです。

 

例えば、これは実際にあった話ですが、アイデアは何気に盗まれます。ある都内の老舗企業に、ご縁あって提案書を持っていきました。提案書を一緒に見てくれる人がいるからというので、紹介してくれた知人と3人で食事をしながら事業の話をしたのです。それから2週間ほど経って、「あの話はどうなりましたか?」と聞くと、「あれ、俺がやってるよ」と言われました。「君がやるより、俺がやった方がいいから」と普通に言われたんです。言葉を選ばず言えば、若い頃というのは、そのくらい舐められているということです。

 

ほかにも、「助けてください」と言われたから仕事を回したのに、後ですべて直に自分で営業してしまうような心の貧しい人もいます。善意の泥棒というか、人の大事にしているものを簡単に傷つけることができてしまう人もいるのです。

 

世の中そんなに悪い人間ばかりではないと思いたいところもありますが、現実はそう優しくはありません。自分だけで人を見極めるのは、とても難しい。若いうちなら尚更です。ぜひよいメンターと出会い、一緒になって事業を推し進めてください。弊グループの顧問陣も、選りすぐりのメンターばかりです。