AI・DXとBPaaSで実現する「ホワイトカラーの生産性向上」
人手不足、後継者不在、人件費の高騰――多くの中小企業や、私たちのような士業事務所が直面する経営課題は、年々深刻化しています。こうした課題を乗り越え、持続可能な成長を実現するためには、AI導入やDX推進による省人化と生産性の向上が不可欠です。私たちが推進している、士業業界/業務革新のプラットフォームであり、共同事業組合的な一般社団法人のASUNA ALLIANCE CONSULTINGは、AI・DX技術を活用し、経営課題の解決をサポートするBPaaS(Business Process as a Service)を展開。ホワイトカラーの業務効率化を中心に、企業の成長を後押しします。本稿では、ASUNA ALLIANCE CONSULTINGの取り組みを軸に、AI・DX・BPaaS推進の重要性と事例をご紹介し、地域経済の活性化に向けた可能性を探ります。
人手不足と生産性向上の両立を可能にするAI・DX戦略
中小企業や士業事務所が抱える最大の課題の一つは、慢性的な人手不足です。特に、ホワイトカラー業務の効率化は喫緊の課題となっています。AI・DXを活用することで、単なる業務の効率化にとどまらず、ヒトが担うべき業務とAIに任せるべき業務を切り分け、生産性を最大化することが可能になります。
ASUNA ALLIANCE CONSULTINGは、ヒトとAIが協働して開発を進める「Human-In-The-Loop(ヒューマン・イン・ザ・ループ)」によるAI開発を行い、業務の効率化と精度向上を両立させる仕組みを目指しています。現在の開発は、数ある税科目の中でも「相続税(贈与税などを含む)」に特化し、例えば、簡易的な相続対策コンサルティング提案の半自動化や、資産データの解析支援など、相続対策に関する業務の効率化に貢献するサービスを展開していきます。これにより、従来は時間を要していたご提案の準備を短時間で完了させ、付加価値の高い業務にリソースを集中できる環境が整います。
「デジタル×フィジカル」による最適解のご提案
AI・DXの導入に際して重要なのは、「デジタル」と「フィジカル」の融合です。AIが業務の大部分を代替できるわけではなく、むしろ人間が持つ直感や判断力を補完する形で活用されるべきでしょう。そのためには、「ヒトがやるべきこと」を明確に定義し、テクノロジーの力を最大限に引き出すことが求められます。
ASUNA ALLIANCE CONSULTINGでは、「集合天才(Collective Intelligence)」の概念を取り入れ、複数の専門家が連携して最適なソリューションを提供する仕組みを構築しています。単なるAI活用にとどまることなく、地域の金融機関や士業事務所が協力し合い、地域特有のニーズや課題に対応するカスタマイズされたAI・DX支援・BPaaS支援を行っていきます。
担当者の属人化を排除
デジタルとフィジカルをうまく融合し、集合天才(Collective Intelligence)を効果的に機能させるためには、統一されたデジタル・ワークフローと、マニュアルで手順を定めたフィジカルの両面の整備が必要です。
例えば、会計事務所や社会保険労務士事務所で見て取れますが、事務所で働くスタッフの方々は最初に仕事を覚えた事務所で学んだやり方や業務システム、そこで生み出された好みの方法にこだわりを持っている人がほとんどです。さまざまな経験をし、方法もバラバラな人が転職するわけですから、そういった人たちが混在すると当然ですが作業の進め方もバラバラになります。人それぞれの属人的な作業手法になるわけです。
もしその担当者がまた別の事務所に転職して後任の担当者がつくとき、前任者の独特のやり方では、後任の担当者には作業の進め方がまったく見えない場合があります。そういった属人的な作業手法を排除するためにも、統一したシステム導入と作業手順=ワークフローとマニュアルで作業方法を決めていく必要があります。
「ブロック&モルタル(ブロックとその間を埋めるモルタル)」のように、一連の作業を指定ITシステム(業務システムやAI、RPA)で統一(ITシステム=ブロック)し、そのシステムをつなげる部分と入口・出口をモルタル=人が対応する。システムで、ほとんどのワークフローを埋めてしまえば、属人性を排除することができます。
地域経済の活性化と士業の新たな役割
地域経済の活性化において、中小企業や士業事務所の連携は極めて重要です。特に、地方都市では相続や事業承継の問題が深刻化しており、円滑な資産承継を支援する体制の整備が急務です。
広島では、地域に根ざし、相続・空き家問題を中心に超高齢社会の課題解決に取り組むLIFE Group様とともに、相続コンサルティングに特化した合弁会社「株式会社Life-G Consulting」を設立しました。この取り組みは、地域に根差した士業事務所が金融機関と連携し、資産承継の最適解を提供するモデルケースとなるでしょう。LIFE Group様がこれまでに累計2,500件以上の相続手続き、200件超の民事信託組成、800件超の不動産取引を手がけた実績を活かし、法務・金融分野の専門家と協力しながら相続支援を強化。顧客一人ひとりの状況に合わせた、最適な資産承継を実現する体制を整えています。
税務相談AIの開発と産学連携の可能性
私たちは前述のとおり税務相談のDXにも取り組んでおり、同志社大学理工学部情報システムデザイン学科の研究チームと国税出身税理士シンクタンクの一般社団法人さくら税務実務研究所とが共同で、税務相談AIの開発・実証実験を進めています。これは、国税出身税理士の知見をAIに学習させることで、次世代に知識を継承しながら、会計事務所業界のDX推進と働き方改革を目指すものです。
この税務相談AIは、ヒトとAIが協働するHuman-In-The-Loop(ヒューマン・イン・ザ・ループ)の仕組みを採用。国税出身税理士や経理実務者、在宅ワーカーが税務に関する質問と回答を繰り返し行い、AIの回答精度を向上させていきます。これにより、税務相談の迅速化が可能となり、相続税申告や確定申告までのワンストップサービスをご提供できる環境が整備されます。
中小企業や士業事務所にとって、AI活用やDX推進は単なる業務効率化の手段ではなく、持続可能な成長を実現するための戦略的アプローチとなりつつあります。このような取り組みが広がることで、地域経済の活性化にもつながると確信しています。今後、デジタルとフィジカルの融合をさらに進め、中小企業や士業事務所が新たな価値を共創できる環境の構築をリードしていきます。DX・AI、BPaaS導入にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
- 関連法人の一覧
SAKURA United Solution株式会社(2022年7月より社名変更/旧:株式会社さくら経営)
弁護士法人法律会計事務所さくらパートナーズ(業務連携)
一般社団法人さくら労務実務研究所
人財創造有限責任事業組合